2024年5月6日東京ドームにて行われたWBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」。
1990年2月11日に行われた「マイク・タイソン vs. ジェームス・ダグラス」戦以来、34年2か月振りの東京ドームでのプロボクシングイベントの開催ということからも注目を集める一戦となっている。
また、ルイスネリは過去にドーピング使用疑惑や世界戦の前日計量にて大幅な体重超過により王座剥奪、JBCから無期限の活動停止処分を科されている問題児として有名。
そんな悪童ルイス・ネリが規定体重をクリアできるかにも注目な「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」の最新情報をチェックしていきましょう。
「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」開催日程・配信情報は?
2024年5月6日に東京ドームにて開催される「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」は「Prime Video Presents Live Boxing 8」としてAmazonプライムビデオが独占ライブ配信(地上波テレビでの放送は無し)。
「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」は1990年2月11日に行われた「マイク・タイソン vs. ジェームス・ダグラス」戦以来、34年2か月振りの東京ドームでのプロボクシングイベントの開催ということからも注目を集める一戦となっている。
また、「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」は井上尚弥選手が保持する主要4団体スーパーバンタム級のベルトを懸けたタイトルマッチのほか、WBC世界スーパーバンタム級ダイヤモンド王座決定戦となることもWBCより発表されている。
WBCダイヤモンド王座…各階級の非凡なレベルのボクサーにWBCの裁量により認定されることがある"階級最高の王者"の証としてのベルト。これまで
- マニー・パッキャオ(ウェルター級)
- フロイド・メイウェザー・ジュニア(スーパーウェルター級)
- サウル・アルバレス(ミドル級)
- オレクサンドル・ウシク(クルーザー級)
などそうそうたる面子の世界王者がWBCダイヤモンド王座のベルトを獲得しており、井上尚弥選手が「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」で勝利すれば日本人初のWBCダイヤモンド王者となる。
「Prime Video Presents Live Boxing 8」はアンダーカードも豪華
「Prime Video Presents Live Boxing 8」ではメインイベントの「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」に加え、
- WBA世界バンタム級タイトルマッチ「井上拓真 vs. 石田匠」
- WBA世界フライ級タイトルマッチ「ユーリ阿久井政悟 vs. 桑原拓」
- WBO世界バンタム級タイトルマッチ「ジェイソン・モロニー vs. 武居由樹」
と4つの世界王座戦が配信されます。
5月6日東京ドームで世界チャンピオンになります
— 武居 由樹 Yoshiki Takei (@tankiti000) March 6, 2024
やってきたこと、背負ってるもの、全てぶつけてバチっと倒して勝つ!!
ドームでチャンピオンになる姿ぜひ見に来てください#武居由樹 pic.twitter.com/C7B0U2sjBc
武居由樹選手はこれまでボクシングデビュー戦から8戦8勝8(T)KOと快進撃での世界戦となるものの、バンタム級での戦績に乏しいことから今回の世界戦はジェイソン・モロニー優位との見方が多い"飛び級マッチ"と目されている。武居由樹選手が下馬評を覆し9戦全勝で世界王座戴冠できるのか注目だ。
(LOSE)「ジェイソン・モロニー vs. 武居由樹」(WIN) 判定3-0で勝利し、武居由樹選手がWBO世界バンタム級王者に
過去に世界戦での大幅体重超過&王座剥奪のルイス・ネリ│今回は計量パスできるのか?
ルイス・ネリは過去に世界戦での大幅体重超過により王座剥奪されており"問題児"としても知られている。
ルイス・ネリは過去に2度に渡り山中慎介選手と対戦。1度目の対戦は当時世界王座連続12回防衛のWBC世界バンタム級王者だった山中慎介選手のベルトにルイス・ネリが挑む形で行われ、4回ルイス・ネリのTKO勝利となった。
しかし事前に行っていたドーピング検査でネリに禁止薬物陽性反応(ネリは完全否定している)があり、WBCより処分が検討されるも「ネリが故意に禁止薬物を摂取したという確証が得られない」という理由で処分されず。代わりにルイス・ネリと山中慎介選手にWBCより再戦指令が出ている。
2018年3月1日に行われた「ルイス・ネリ vs. 山中慎介」(再戦)の際 ネリは前日計量でバンタム級の規定体重を5ポンド超過(約2.27㎏)し、再計量でも3ポンド超過したため王座剥奪される。
試合は山中慎介選手が勝利した場合のみ王座獲得という条件で行われ、2回ルイス・ネリがTKO勝利し王座は空位となった。
また、この他にも2019年11月23日、エマヌエル・ロドリゲスとのWBC世界バンタム級挑戦者決定戦の前日計量でもルイス・ネリが体重超過し試合中止になっている。
「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」の決定にあたり、2024年2月26日にJBCはネリの日本での活動停止処分を解除することを発表、記者会見でルイス・ネリは山中慎介選手とのタイトルマッチで体重超過したことを謝罪。
大橋ジム会長「1ポンドでも体重オーバーしたら試合はしない」ルイス・ネリ対策のリザーバーが用意される
井上尚弥選手の所属ジムである大橋ボクシングジム大橋秀行会長は「Prime Video Presents Live Boxing 8」記者会見にて、今回ルイス・ネリが体重超過した場合「1ポンドでも体重オーバーしたら試合はしない」と明言。
しかし34年振りの東京ドームでのボクシングビッグイベント開催といった背景もあり、ネリの体重超過により「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」の対戦カードが消滅した場合に備えリザーバーが用意されたことが発表されている。
ルイス・ネリ対策で用意されたリザーバーにはアイルランド出身の元IBF世界スーパーバンタム級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(TJ・ドヘニー)が抜擢。
TJ・ドヘニーはPrime Video Presents Live Boxing 8「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」のアンダーカード第一試合でフィリピンの新鋭ブリル・バヨネスとの試合が組まれており、ルイス・ネリの体重超過でメインカードが消滅した場合には「井上尚弥 vs. TJ・ドヘニー」が代替カードとなる予定。
ルイス・ネリ「井上尚弥は過大評価された平凡なファイター」
アメリカのボクシング情報メディア「BoxingScene.com」のインタビューにてルイス・ネリは井上尚弥選手について「イノウエは過大評価された平凡なファイター、俺がKOする」と豪語。
Será una guerra https://t.co/Ew8URAxVls
— PANTERA (@luisnerynp) April 17, 2024
ルイス・ネリ
- 「イノウエ(井上尚弥選手)は非常に優れたボクサー。この試合は俺のキャリアで最大のものになる。4団体のベルトがかかってるからね」
- 「しかし俺はイノウエのこれまでの試合を見たたが彼は過大評価されている。少なくとも俺には普通のファイターに見えるよ」
- 「俺はメキシカンスタイルでガンガン前に出てKOしに行く。12ラウンド闘う準備はできているが、それより早く終わらせたい。 コンディションがいいからこれまで以上に強く賢く速いネリをお見せする」
- 「イノウエはサイズも小さい普通のファイター。たしかに彼はパワーがあり速くて賢いボクサーだと理解している。だがパンチを打つ際に隙ができるんだ、そこが弱点だしそこで俺の出番だ」
- 「俺からすればタパレス(井上尚弥選手の前戦の相手)はB級ファイターだ。そしてフルトンはイノウエのキャリアの中で最強の相手だったろうが、彼は消極的で井上を怖がっていた。俺はイノウエを恐れていない」
- 「JBCが俺を出場停止にした事についてはあまり気にしてない。日本人は俺がイノウエと対戦すれば儲かると判断して俺の出場停止を解除したんだろう」
- 「俺は無敗じゃないし現在チャンピオンでもないからこの試合で勝っても負けても失うものはない。しかしイノウエにはリスクがあるだろ?イノウエ陣営は俺との試合を受けたことを後悔することになるよ」
- 「どちらにせよ俺かイノウエ、どちらかがノックアウトして終わることになる。」
「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」勝敗予想
内山高志
元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者"KOダイナマイト"内山高志さんの「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」勝敗予想
- 「井上のKO勝ち予想。ネリの唯一の敗戦はフィゲロア戦でボディを効かされてね。とはいえネリはしっかり実力ある選手だし曲者なんで怖さはあるよね」
- 「ネリはガンガン前に出て振ってくるんで井上でも被弾するんじゃない?仮にドネアとネリがやったら意外とネリが勝つのかなと思う」
- 「井上尚弥に勝つのは単にテクニシャンじゃ無理、一発がないと。そういう意味ではネリは可能性がある」
- 「予想としては井上尚弥選手有利だけど、井上尚弥にとってもルイス・ネリは危険な相手。「井上尚弥 vs. ノニト・ドネア」くらいの緊張感ある試合になると思う」
- 「井上尚弥選手はすべてのパンチがKOパワーを持ってる。だから何で倒すかはタイミング次第だけど井上選手の勝ちは固い。」
内山高志さんは井上尚弥選手のKO勝ちと予想するも、ルイス・ネリのアグレッシブなスタイルは簡単にはさばけないとしネリのパンチの怖さも指摘されています。
「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」試合結果│井上尚弥が6回TKO勝利で防衛成功
(WIN)「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」(LOSE) 6回1分22秒TKO(右ストレート)
Let's do it#inouenery #tokyodome pic.twitter.com/6FC0dZuCXX
— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) May 6, 2024
【海外の反応】「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」試合後の感想まとめ
34年振りの東京ドームでのボクシング興行開催&日本人初の東京ドームメインイベンター、さらに井上尚弥選手が初回にキャリア初のまさかのダウンを喫する波乱となったWBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」。
「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」を観た世界・日本のボクシング関係者の反応・評価をチェックしていきましょう。
ダグラス・フィッシャー(Douglass Fischer)
世界で最も権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」の編集長ダグラス・フィッシャーの「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」への反応。
I had to stay up all night to watch and cover the #InoueNery card from ESPN+ but The Monster made it worth it. Naoya Inoue fights are ALWAYS worth my time. I should crash now but I'm buzzin'!
— Douglass Fischer (@dougiefischer) May 6, 2024
- 「なんてこった!井上兄弟は二人とも第1ラウンドでダウンを喫した。尚弥がどう対処するか見ものだ。ネリの左フックは完璧なタイミングだった」
- 「2回までにお互いダウンを奪い合う。年間ベストファイター同士の闘いだ!」
- 「Wow!なんという右ストレート、これで終わりだ。ネリは初回のダウンでナオヤ・イノウエを怒らせてしまった」
- 「「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」について報道するために一晩中起きてたが、"モンスター"ナオヤ・イノウエのおかげで十分その価値があったと言わざるを得ない。満足すぎる結果だ。ナオヤ・イノウエの試合はいつでも見る価値がある。もう寝た方がいいけど興奮が冷めないよ!」
また、ダグラス・フィッシャーはネリが井上尚弥選手から初回で奪ったダウンについて
「イノウエのダウンは信じられない光景で、世界中のボクシングファンが34年前の「タイソン vs. ダグラス」戦がフラッシュバックしたはずだ。しかしモンスターの前では大番狂わせは怒らなかった」
と井上尚弥選手の強さに興奮しっぱなしのご様子。
トップランク社(Top Rank Boxing)
アメリカの大手ボクシングプロモーション会社「トップランク」の井上尚弥 vs.ルイス・ネリへの反応。
The Round 1 knockdown unleashed the Monster 😤
— Top Rank Boxing (@trboxing) May 6, 2024
(📸 Naoki Fukuda) pic.twitter.com/gRuFYRC4Zk
- 「ネリが奪った初回のダウンは本気のモンスターを解き放った」
- 「井上尚弥は神話にしてモンスター、ホンモノのスーパースターだ。 アメリカ、日本、どこでも 世界中がそれを知っている」
- 「井上尚弥はPFP(パウンド・フォー・パウンド)ナンバー1だ。議論の余地はない」
トップランク社もルイス・ネリ戦の井上尚弥選手の試合内容を絶賛。
ボクシングシーン(BOXINGSCENE.com)
All-Action Hero Naoya Inoue Climbs Off Canvas to Violently Knock Out Luis Nery https://t.co/S7Hpv1VN6j
— BoxingScene.com (@boxingscene) May 6, 2024
アメリカのボクシング専門サイト「BOXINGSCENE」は「井上尚弥 vs. ルイス・ネリ」について
- 「日本を代表する"少年のような破壊者"井上尚弥は東京ドームの4万人の観客の前で、日本にとっての悪役ルイス・ネリをノックアウトした」
- 「ルイスネリが初回に井上尚弥からダウンを奪い、34年前に同じく東京ドームでェームズ・“バスター”・ダグラスがマイク・タイソンを飲み込んだ試合を彷彿とさせた」
- 「しかしその後の井上尚弥のファイト、特に6R1分22秒以降は劇的だった。 それは映画のようでもあり、詩的でもあった」
と「マイク・タイソン vs. ジェームス・ダグラス」戦を引用し、ルイスネリ戦の井上尚弥選手を称えている。